佐久・中山道さんぽ 第3弾|塩名田宿:千曲川と宿場町 水辺の景色を楽しむのんびりさんぽ
こんにちは。プラザ佐久です。
天気の良い日は、どこかへ出かけたくなりますよね。佐久市の中山道沿いには、のんびり歩いて楽しめる宿場町が点在しています。
今回の連載では、各宿場町の魅力や見どころをご紹介します。宿場町を巡る「歴史さんぽ」はいかがでしょうか。
第3弾は「塩名田宿(しおなだしゅく)」です。
千曲川を中心に形成された塩名田宿では、水辺の町ならではの景色や雄大な浅間山を望む風景をぜひ楽しんでください。
塩名田宿とは
塩名田宿は、江戸から数えて23番目の中山道の宿場町です。千曲川の東側に作られた川沿いにあり、浅間山を望む自然豊かな場所にあります。
千曲川は「近郷無類の荒れ川」とも呼ばれ、たびたび氾濫を繰り返してきました。橋が流されると旅人は渡し舟を使うしかなく、川の増水時には旅人の足を止める宿として重要な役割を担っていたそうです。また、舟運や交通の要所としても栄えたそうです。
江戸時代には本陣2軒、脇本陣1軒、旅籠7軒が並び、東西に長い町並みが特徴です。
下宿・中宿・河原宿の3つのエリアと、千曲川の西側には塩名田宿の加宿だった御馬寄村も位置しており、それぞれに異なる趣があります。
町並みを歩くと、家々の軒先に「〇〇屋」といった旧屋号の看板が掲げられており、江戸時代から続く宿場町の歴史や人々の暮らしを感じられます。
町並み紹介・見どころ
駐車場:旧浅科公民館は本陣問屋跡の向かいにあり、公共トイレも設置されています。バス停のある大きな通り沿いにあるため、利用しやすい立地です。
下宿・中宿・河原宿・御馬寄村、各エリアの町歩き
下宿
宿場町の入口にあたり、かつては旅籠や商家が軒を連ねていました。今も古い建物が点在し、静かな雰囲気が漂います。
中宿との間には小諸宿へ至る小諸道があり、小諸藩にとって領内支配の主要道路だったそうです。明治2年(1869年)の川西騒動では、小諸藩兵がこの道から塩名田宿へ入り、千曲川の西エリアにある御馬寄地区へ集結した一揆勢と向かいあったそうです。
中宿
ここは宿場の中心部にあたります。本陣・脇本陣・問屋場が置かれ、旅人や大名行列でにぎわったエリアです。現在も本陣問屋跡(大井屋・丸山善兵衛本陣跡)が残っています。建物は個人宅のため内部は非公開ですが、外観から歴史を感じることができます。
佐越家住宅は天保2年(1831年)築の町屋で、もとは農家でしたが町屋造りに改築されたそうです。隣には白壁・土蔵造りの蔵元があり、かつては造り酒屋としてにぎわったそうです。
河原宿
千曲川に近いエリアです。
通称「お滝通り」と呼ばれる坂を下ると、旅籠風の建物がいくつか現われます。川魚料理屋や昭和初期の建物も残り、かつてのにぎわいが感じられます。千曲川に近いこの通りは、川のせせらぎとともにさんぽが楽しめるエリアとなっています。
昭和6年(1931年)に千曲川に架かる中津橋が架け替えられ、国道が高い位置を通過するようになりました。そのため、国道沿いの住宅では既存の2階建に増築して4階建てとし、国道へ直接出られるようにした住宅が見られます。また、国道に上るための階段も所々に作られています。
河原宿では、「塩名田宿宿場祭り」が毎年10月第2日曜日に開催されています。宿場綱引き大会や中山道宿場太鼓など、地域をあげてのにぎやかなイベントです。
御馬寄村(みまよせむら)
平安期に官牧望月牧(かんぼくもちづきのまき)の牧馬を検査し、朝廷への貢馬を寄せ集めた場所だったことから「御馬寄」という地名になったと伝えられています。近隣地域にも「駒寄」「御牧原」など牧場運営の中心的な施設があったそうで、望月牧の一部として機能していたそうです。
望月地域の歴史については、プラザ佐久の他の記事もぜひご覧ください。
【佐久エリア紹介】望月地区の魅力とは。歴史ある建物や風情が残る町並みを散策
佐久・中山道さんぽ 第1弾|望月宿:レトロな街並みを楽しむ初夏のさんぽ道
江戸時代には馬や人夫が配備され、木賃宿もあったそうです。八幡宿まで3kmと近く、川止めなどの際の宿泊者にも対応していたそうです。
また、米市場として集落には数軒の穀物問屋や商家があり、物流の拠点としても繁盛したようです。
塩名田宿を象徴する史跡と寺社
休み茶屋跡と湧き水と十九夜塔
中宿から河原宿への坂を下る途中には、かつて「滝明神」があり、ケヤキの根元から水が湧き出ていました。隣には「角屋」と呼ばれた休み茶屋があり、旅人の疲れを癒やしていました。滝明神はその後、塩名田神社へ移されましたが、今も清らかな水が流れています。現在は東屋が設けられているので、さんぽの途中で一息つくのにぴったりの場所です。
傍らには十九夜塔があります。かつて、十九夜講と呼ばれる女性たちが集まり、この場所で夜を徹して祈りを捧げていたそうです。
舟つなぎ石
明治6年に船会社を作り、9艘の舟をつないで、その上に板を渡す「船橋」方式が取られていたそうです。千曲川の渡し舟をつなぐために石に穴をあけて使われた「舟つなぎ石」が、今も川沿いに残っています。
千曲川はたびたび増水し、橋が流されることも多かったため、舟運が重要な交通手段でした。舟つなぎ石は、そんな歴史を今に伝える貴重な遺構です。
塩名田神社
宿場の鎮守として親しまれ、地域の信仰を集めています。
正縁寺
浄土宗知恩院を本山とする末寺です。裏手の墓地には中山道を旅する途中、この地で亡くなった人々も埋葬されており、千曲川での水難者と推測される墓も含まれているそうです。
大圓寺
浄土宗知恩院の末寺で、千曲川の左岸にある御馬寄の中央北側にあります。
勝手神社
中津橋を渡った先にあり、社殿の右に立つ大欅は、佐久市の天然記念物に指定されています。左には北朝の年号の刻まれた「山の神」の石祠が祀られています。
参照:佐久商工会議所:佐久歴史の道
佐久市観光協会
御馬寄村
さんぽのお土産は日野屋の和菓子で決まり
日野屋の和菓子
塩名田宿には、御菓子処「日野屋」があります。
1906年創業の老舗和洋菓子店には、明治神宮に献上された銘菓がそろい、地元の素材を生かした和菓子が並んでいます。中山道銘菓「宿場太鼓」、「中仙道千曲の清流」、「信州あさしな」、「鯉もなか」、「浅間山麓そばまんじゅう」など種類も豊富で、宿場町さんぽのお土産やお茶うけにぴったりの逸品がそろっています。立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
さんぽの途中でおいしい和菓子を購入し、湧き水のある東屋や川沿いで休憩しながら楽しむのもおすすめです。
ドライブイン千曲
千曲川の西側エリアに位置し、地元の人やドライバーに親しまれている食堂・定食屋です。中津橋を渡り御馬寄方面まで行く際には、昼食場所の候補としても便利です。定食やそば、ラーメンなど、旅の途中にうれしいメニューがあります。
参照:佐久市地産地消推進の店
塩名田宿を満喫する過ごし方
千曲川と宿場町の歴史を楽しむ
塩名田宿の魅力は、なんといっても千曲川の流れとともにあることです。
川沿いを歩きながら今も残されている「舟つなぎ石」を見たり、川の流れとともに歩みを止めた旅人や、橋の歴史に思いをはせながら巡ることができます。
エリアごとに変わる宿場の雰囲気を楽しむ
塩名田宿は下宿・中宿・河原宿の3エリアと橋を渡った西側エリアに分かれています。江戸方から歩き始めると、本陣跡など江戸時代の建物が点在し、町割りの変化を体感できます。
格子戸や屋号看板が今も残る建物や昔ながらの雰囲気は、写真撮影にもぴったりです。各所にある東屋やベンチなどで休憩しながらのんびりとさんぽを楽しんでみてください。
浅間山の雄大な風景
自然豊かな地域のなかでも、特に中津橋の上から望む景色は格別です。千曲川越しに浅間山と開けた空が広がります。さんぽをしながら澄んだ空気と雄大な風景を楽しんでください。
所要時間の目安
塩名田宿の主要スポットは約1〜2時間で巡れます。町並みや川沿いをゆっくり歩いたり、中津橋を渡り御馬寄地区まで足を延ばして、ゆっくりと過ごすのもおすすめです。
アクセス・さんぽポイント
・佐久南ICから車で7分
・JR北陸新幹線佐久平駅から路線バスで12分
・公衆トイレは旧浅科公民館の駐車場にありますので、事前のご確認をおすすめします。また、川沿い方面に行くと公衆トイレがないためご注意ください。
・東屋やベンチが設置されていますので、休憩所として利用できます。
・飲食店が少ないため、飲み物など持参すると安心です。
まとめ
千曲川の流れとともに歩む塩名田宿は、水辺の景色と歴史のある町並みが魅力の宿場町です。
江戸時代の旅人も足を止めたこの地で、初夏の風と新緑に包まれながら、心安らぐひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
きっと、静かな水辺の宿場町ならではの癒しが待っています。中山道や塩名田宿のある浅科地区については、別記事でも詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
歴史が息づく中山道・佐久の宿場町めぐり
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